37. 海に鉄をまくとプランクトンが増える?

植物プランクトンの栄養分としては、窒素やリンだけでなく、鉄も大事な栄養分の1つです。鉄といっても、植物プランクトンが吸収するのは海水に溶けた状態の溶存鉄です。窒素やリンが十分あるけれど、この溶存鉄が足りないために、植物プランクトンがあまり増えない場所があります。具体的には南極海や赤道太平洋、北太平洋亜寒帯域などで、これらの広さの合計は海洋全体の約20%にも相当します。実際にこのような海域で溶存鉄を散布すると、数日~数週間のうちにみるみる植物プランクトンの量が増えます。さらに表層水のCO2が減って、深い層へ沈降する有機炭素の量も増えるという現象も観測されました。このような実験結果から、陸上に豊富にある鉄分を海にまくことで、海によるCO2の吸収を促進させて、地球温暖化の要因である大気中のCO2濃度の上昇を抑えようという提案があり、その効果について科学的に検討されています。