9. 大西洋と太平洋どっちの海がしょっぱいの?

太平洋やインド洋の海水には1リットルあたり約35gの塩が含まれていますが、大西洋の海水には1リットルあたり約37g、北極海の海水には約30gの塩が含まれています。このような違いが生まれる理由について考えてみましょう。地球上の熱帯・亜熱帯では、太陽光によって海面近くの海水が温められて蒸発するので、残された海水の塩分(水に含まれる塩の量)が高くなります。蒸発量が同じでも海盆が小さく形が閉鎖的であるほど塩分が高くなりやすいです。これは塩田の仕組みとよく似ています。大西洋の形は、インド洋や太平洋に比べると狭く閉鎖的です。その結果として大西洋の塩分が高くなると考えられます。もう一つの原因は世界の降水量分布にあります。インド洋と太平洋の接続域は世界で最も雨が降るので、その周辺では海水の塩分が低くなります。またアジア上空の水蒸気は、大気の風(偏西風)に乗ってアメリカ大陸に向かって運ばれますが、アメリカ大陸に達するとロッキー山脈にさえぎられて大西洋まで到達することができません。このような理由によりインド洋と太平洋では塩分が低くなり、大西洋では塩分が高くなるといわれています。