30. サンゴが白くなる?

サンゴ礁には多くの種類の生物がたくさん集まっているため、海のオアシスと呼ばれます。この地形はサンゴの石灰質の骨格が積み重なってできていて、この骨格をおおうように数百から数万の造礁サンゴの個体が集団生活しています。たくさんの個体がくっついて木の枝のような形を作る種類がいるため、植物だと間違われやすいですが、サンゴは動物(イソギンチャクやクラゲの仲間)でプランクトンを捕まえて食べます。その一方で、体の中にはたくさんの「褐虫藻かっちゅうそう」という植物プランクトンが活発に光合成をしていて、褐虫藻とサンゴはお互いに必要な栄養分をあたえ合いながら共生しています。多くの造礁サンゴの色は茶色っぽく見えますが、サンゴ自体は透明で体内の褐虫藻の色が透けて見えているのです。この大事な共生パートナーがいなくなってしまうと、サンゴの白い骨格が透けて白く見えます。これを白化現象と呼び、この状態が続くとサンゴは死んでしまうのです。サンゴは一般に温かい場所に生息しますが、水温が高すぎると褐虫藻がサンゴの体内からいなくなってしまいます。そのため、近年、温暖化の影響でサンゴの白化が深刻化しています。また、海洋酸性化によっても、造礁サンゴの骨格形成が困難になることが予想されていて、海のオアシスがなくなってしまうかもしれません。