48. 温暖化は海洋生態系に影響するの?

最近、豪雨が増え、地球温暖化による影響の可能性が指摘されています。温暖化の影響は着実に海の中にも現れています。北極海の海氷が減少し、ホッキョクグマが絶滅の危機にあるといわれます。北極の夏の氷の面積は2010年代には1980年の半分程度になっており、ロシア沿岸で夏には氷が無くなってきています。ホッキョクグマは餌を捕るために陸地から氷の上にわたりますが、氷のない海を長く泳ぐことはできません。世界自然保護基金(WWF)は、ホッキョクグマの移動と海氷の関係を動画にしています。陸地と氷を行き来するのに、氷が無くなって空腹の中、泳ぐホッキョクグマの気持ちが伝わってきます。海水温も着実に上昇していて、日本周辺でもこの数十年で数℃の上昇が報告されています。夏と冬の気温差が40℃近くもあるのに、数度の変化はたいしたことがないと思うかもしれませんが、もともと気温よりも変化が少ない海の中に住む生物にとって、数℃の変化も大きな影響があると考えられます。泳ぐ能力の高い魚であれば、自分の好きな水温の海域に移動してしまいます。よって、サンマやサケが捕れる場所は、北極の方に移動しつつあると考えられています。泳げないサンゴの白化現象については前に触れました(#30参照)。また、表面が温められることによって、栄養分が下層から表層に上がりにくくなることも指摘されています。海の砂漠(#34参照)で植物プランクトンや動物プランクトンがますます少なくなっている可能性があります。