36. 魚はどこで捕れる?(その2)

実は陸からだけでなく、海の深い場所にもたくさん栄養分があります。深い場所といっても、深海と呼ばれるほど深いところだけではありません。植物プランクトンは光を使って光合成をして生きていますが、水深100mにもなると、光合成をするには光が弱くなりすぎてしまいます。それよりも深い水には、栄養分がたくさん含まれています。この水が光のあたる表面に上がってくると、その中の栄養分を使って植物プランクトンが増えます。例えば、強い流れが島や海山などにぶつかることで深い所の水が上がってくる現象(局地性ゆうしょう)があります。また、北半球では岸を左に見る方向(南半球では右に見る方向)に向かって風が吹くと、地球の自転の影響で、深い所の水が上がってくる現象(沿岸湧昇)が起こります。この現象は、特にカリフォルニアやペルーの沖で有名です。また、北半球と南半球の境目である赤道近辺でも湧昇(赤道湧昇)があり、植物プランクトンが比較的多く、人工衛星で観測すると、赤い道にまではなりませんが緑っぽい道になっています。このような栄養分の豊富な海域は、魚が多く捕れる場所として知られています。このような湧昇海域は、面積的には地球上の0.1%にもなりませんが、99%の魚がこのような場所で捕れるという試算もあります。