41. 宇宙からの顕微鏡?

植物プランクトンの多くは顕微鏡でしか見ることのできない大きさです。しかし、最近はこれを宇宙から見ることができるようになってきています。もちろん、宇宙から一つ一つの細胞を見ることはできません。しかし、海水の中に植物プランクトンがどの程度いるかは、海の水の色を科学的に測定するとわかるのです。大洋の真ん中は植物の少ない海の砂漠ですが、沿岸や赤道域には植物がたくさんいます(#3435参照)。このようなことは昔からある程度はわかっていましたが、それを地球全体で見たことのある人は誰もいませんでした。1978年に沿岸水色走査計と呼ばれるセンサーを搭載したアメリカの実験衛星が打ち上げられて、初めて地球全体の植物プランクトンの分布が見えるようになりました。その後、1997年と2002年には、日本も「みどり」1号、2号を打ち上げて観測していますし、2017年には「しきさい」を打ち上げ、地球全体の色を250mという空間的な細かさで観測しています。20年以上にわたる観測で、地球の海の変化が、いろいろとわかってきています。海の中での桜前線のこと(#39参照)など、海の中での季節の変化も人工衛星を使うことによって、はっきりわかるようになりました。また、台風の時には風が強く、波が高いので、船を使って海の調査をすることはとても大変です。台風で植物プランクトンが増えることも(#39参照)、人工衛星を使うことによって、初めてしっかりとわかってきたのです。