4. 氷が浮くのはなぜ?

水分子は、氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)の3つの形で存在します。多くの物質の密度は固体、液体、気体の順に小さくなりますが、水はすこし違っています。固体である氷の方が液体の水よりも密度が小さいのです。このためにコップに入った水に対して氷は浮くし、北の海でみられる流氷も海面を漂っているのです。このような特殊な性質は、酸素原子1個と水素原子2個が結合した水分子が、近くにある水分子を引きつける強い力(=水素結合)を持っているためです。液体のとき水分子は他の分子とくっついたり離れたりして不規則に動き回っている状態ですが、0℃まで温度を下げると分子の運動がピタッととまって、1つの水分子の周りに4つの水分子が水素結合によって正四面体を作るように整列し、これらがつながって六角形の結晶構造を作ります。これが氷の状態なのです。この氷の構造は内部の隙間が大きく、水に比べて密度が小さくなるため、水に浮くのです。もし水分子が水素結合をもたず、氷が水に浮かずに沈んでしまったら、海はどうなるでしょうか?流氷だけでなく北極の氷も海面からなくなります。そして海底にどんどん氷がたまってしまい、深層は氷漬けになってしまうでしょう。ホッキョクグマだけでなく、多くの海の生物にとって住みにくい環境だったかもしれません。