32. 動物プランクトンの大移動とは?

比較的大きなオキアミ類やカイアシ類などの動物プランクトンは、夜は浅いところ(水深50m以浅)でエサを食べて、昼間は光の届かない深い場所(数百m)ですごします。これは、暗い場所で捕食者から隠れる、有害な紫外線を浴びないようにするためだと考えられています。このために、毎日、早朝と夕方の2回、群れを作って鉛直移動します。種類によっては、片道で数百メートルの距離です。大きさ1mmのプランクトンだと体長の数十万倍に相当します。人間サイズで計算すると150km以上の長距離走になります。これを毎日するのはすごく骨が折れそうですが、彼らの体は海水との密度差が小さいため、この移動にあまりエネルギーを必要としないようです。このように表層でエサを食べてから深い場所に移動することは、結果的に有機炭素を浅い場所から深い場所へ運びます。また彼らの排泄物はマリンスノー(#31参照)としても、深層に運ばれます。このように、動物プランクトンは表層から中深層への炭素の運び屋としての役割を持っています。