7. 太平洋は「太」で大西洋は「大」なのはなぜ?

大航海時代にスペイン艦隊は西回り航路による初めての世界一周探検を成し遂げました。マゼランたちは1519年にスペインの港を出発し、大西洋を横切ってから、さらに南下し南米大陸に南端があること、つまり大西洋と太平洋が繋がっていることを発見しました。この南米大陸南端と南極大陸との間の海は南半球の大気の偏西風が強く吹くところですので、帆船で航行するのは大変な事でした。この荒れた海を通り過ぎて太平洋にたどり着くと今度はとても穏やかな平和な海でした。この海を、ラテン語で「平和な海」を意味する“El Mare Pacificum”と名付け、その英語名がPacific Oceanとなりました。これを日本語に訳すにあたり、天下太平(泰平)の意味と関連させて「太平洋」と名付けられました。大西洋の英語名はAtlantic Oceanですが、これはギリシャ神話のアトラス神に関係しています。アトラス神はオリンポスの神々との戦に敗れ、世界(この場合は古代ギリシャ)の西の端で天空を双肩で支える罰を課せられました。このような事情から、アフリカ大陸のモロッコにある山脈はアトラスの山、さらに西の果てにある海はアトラスの海と名付けられ、この日本語名が「大西洋」となりました。海洋学では、太平洋、大西洋、インド洋、南大洋のような大陸の間にある大きな海のことを「大洋」と呼びます。