47. 気候の変動は漁獲量に影響するの?

最近、全世界で魚を食べる文化が広がりつつある一方で、多くの海域で捕れる魚が少なくなっていると聞きます。人間が漁業資源を枯渇させずにどれだけ捕ってよいかはどのように決まっているのでしょうか。気候の変動が魚の量や種類組成を変えているといわれています。

例えば、1980年代にはマイワシはたくさん捕れて、安い魚の代表でした。しかし、1990年代には漁獲が減り、代わりにカタクチイワシが多く捕れるようになりました。これは気候の10年スケールの変動と関連していると考えられています。気候の変動だけではなく、人間の捕り過ぎも、魚を減らしています。これをはっきりさせたのが、エルニーニョでのペルー沖のカタクチイワシの漁獲の問題です。エルニーニョ現象とは、ペルー沖の水温が上がる現象で、栄養分の豊富な下層の水が上がってこなくなるために、植物プランクトンが減り、それを食べるカタクチイワシも減少します。1988年に発生した強いエルニーニョ現象によってカタクチイワシは激減し、それに追い打ちをかけるように人間が漁獲をしたために、その後の漁獲量は長く低迷したといわれています。最近は、温暖化の傾向で、魚の生育環境も大きく変化しつつあると考えられ、今後の漁業のあり方が心配されています。