49. 海洋酸性化は海洋生態系を変えるの?

二酸化炭素(CO2)が海水に溶け込むと酸性化します(#28参照)。酸性化は多くの海洋生物が持っている炭酸カルシウムの生成に多大な影響を与えます。サンゴや貝類、円石藻類や有孔虫といった生物は、石灰化を行っています(#29参照)。また、動物プランクトンの中でも、生物量の多いエビ・カニの仲間がキチン質と呼ばれる殻に炭酸カルシウムを使っています。実際、これまでCO2を増加させていろいろな生き物を飼う実験が行われており、大気中のCO2がこのまま上昇すると、間もなく海水中の多くの生き物の生存が危うい状況になることが指摘されています。もちろん中にはCO2が多い方が良い生き物もいるかもしれませんが、そのような生物だけ増加したら、生態系全体がこれまでとは全く違ったものになってしまいます。以前、酸性化が着目される前には、温暖化を防ぐために人間が大気に排出しているCO2を集めて、海の中に閉じ込めてしまうという研究も行われていましたが、大気から溶け込むだけでも影響があるのに、直接海に捨てるのは当然問題があることになります。では、増え続ける膨大なCO2をどうするのか?答えがみつからないまま、温暖化も酸性化も着実に進行しています。