16. 人工衛星から海洋の何が測れるの?(その1)

潜水艦は海洋中の音波を使って位置を把握して航行しているのは有名な話ですね。なぜ音波を使っているのかというと、「光や電磁波」は海水中ですぐに減衰してしまい広大な深海の様子を探ることができないからです。人工衛星から海洋を観測する際には大きく分けて3つの方法があります。(1)海面から宇宙に向けて届く「光や電磁波」を受信する。(2)人工衛星から海面に向けて電磁波を照射してその反射信号を受信する。(3)地球の重力の分布を測定する。まず(1)の「光や電磁波」というのは、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波のことです。マイクロ波はみなさんの家庭にある電子レンジや最近の携帯電話でも使われています。人工衛星に搭載された高精度のセンサーで海面から宇宙に向けて届く「光や電磁波」を受信することにより、海色や海面水温の分布を測定することができます。海色の分布を解析すると海洋中の植物プランクトンの量を推定することができます。広大な海のことを自転車のようにゆっくりとしか進むことができない船だけで、調べつくすことは不可能です。そのために、人工衛星で様々なことを調べる技術が進んでいますが、今のところ、海の生物や化学的なことを調べることのできる人工衛星はほとんどなく、海の色は貴重な情報となっています。海面水温は赤外線とマイクロ波のどちらを使っても測定することができますが、マイクロ波は大気中の雲に邪魔をされることなく受信できるという利点があります。