6. 深海の温泉ってどんなところ?

深海の世界は真っ暗でとても圧力が高く、生物の数はあまり多くありません。ところが海の底には数百℃もある熱水が噴き出す「熱水噴出孔」という場所があり、そこにはいろいろな生物が密集して生息しています。まるで海底の温泉に集まってきているようです。このような熱水噴出孔周辺の生態系では、特殊な微生物が熱水の中の硫化水素やメタンを利用して有機物を作り、それを他の生きものが食べて生活しています。これだけでも珍しい場所といえますが、じつは深海の熱水噴出孔は、地球で生命がはじめて誕生した場所かもしれないと注目されているのです。太古の海にも同じような環境があり、熱水のエネルギーが生命の発生に必要な化学反応を促進させたと考えられています。また、噴出孔とその周辺には、熱水に含まれる金属成分が冷却・沈殿してできた鉱床が存在します。これらの鉱床はまだ開発されていませんが、将来的には貴重な鉱物資源の宝庫になると期待されています。このように深海の熱水噴出孔はいろいろな科学分野のホットスポットといえます。