26. エチゼンクラゲの謎

2002年から2009年にかけて、日本海で人間よりも大きなエチゼンクラゲが大発生しました。漁具が壊れたり、漁船が沈んでしまったこともあったようです。幸いなことに最近は、大発生はしていません。過去には1920年と1958年に大発生した報告があるだけで、なぜ大発生したのか、その後なぜ大発生しないのか、全くわかっていません。ほとんど研究がされていなかったエチゼンクラゲですが、この大発生を機に研究が始まり、卵から親まで育てることもできるようになりました。この日本海のエチゼンクラゲは、東シナ海の沿岸域で生まれたといわれています。生まれたといっても、卵からではなく、ポリプと呼ばれるイソギンチャクの様な幼生から切り離されて、それがどんどん大きくなるということもわかっています。このポリプは中国沿岸にいるといわれていますが、実際にはまだ見つかっていません。大発生の理由としては、温暖化、海の栄養分が増えて餌が増えた、乱獲によって魚が減って競争相手がいなくなった、海底のゴミなど幼生が付着しやすい場所が増えたなど、人間の影響が指摘されています。しかし、なぜ大発生したのかは、説明ができていません。最近、実はエチゼンクラゲだけではなく、他のクラゲやクラゲに似たゼラチン質の体を持つ動物の量が増加していることが世界中で指摘されています。このような生物は、人間よりもずっと昔から地球上に住んでいて、幾多の困難を耐えてきたつわものですので、一筋縄ではいきません。