● 研究船での生活ってどんなもの?

研究船での生活とはどんなものでしょうか。ある程度大型の研究船だと、1週間から1か月くらい陸によらないで調査航海を続けることがあります。限られた時間内で最大限の成果を上げるために重要なのは、まず準備です。どんな研究をやるために、いつ頃どこの海域に行って何をやるのか、入念に計画を立てる必要があります。そして、どんな研究機材が必要なのかリストアップし、それを準備して引っ越しのように機材を研究船に積み込みます。研究船には多くの場合1人の研究者や一つのグループだけが乗るわけではありませんので、一緒に乗船する人たちとは事前によく話合って研究計画を立てます。また、大型の船を動かすのは研究者ではなく、船員さんたちです。船長を含めた船の人たちとも、どのように船を動かすのか、どこでどんな作業をやるのか、よく打ち合わせをしておく必要があります。数百トンの船であれば10~20名程度の研究者や学生たちと、同程度の人数の船員さんたちが共同生活をすることになります。また計画を立てても、船の上では何が起こるかわかりません。天候が崩れて観測ができないことはよくあります。場合によっては積み込んだ測器が壊れて、船員さんにお願いして応急修理してもらったり、けが人が出るなど大事の場合は緊急入港といったことも起こりかねません。そんな中でも計画変更をしながら、最大限の成果を出すために、みんなで協力しあって進めます。今はいろいろな機械が開発されていますが、それでも重い測器や水の入った容器を手で持ち上げなければならないこともあります。それを揺れている海の上で行うことになります。海や生物といった相手のある中で、夜中に働くこともありますし、夏の暑さや冬の寒さがとても厳しい航海もあります。それでもみんな自分の研究成果が上がることを信じて仕事をします。もちろん長い航海では、働くばかりではやっていけません。3度の食事は一番の楽しみですし、時間を見つけてお酒をたしなんで、いろいろな研究機関からきた専門の研究者たちと情報交換するのも重要な時間です。仕事に疲れたり船酔いの後でも、変わった生き物と出会えたり、本当にきれいな朝日や夕日が見れたり、とても感動できる仕事です。みなさんもこんな仕事してみませんか?