12. なぜ大洋の西側に強い海流があるの?(その1)

世界中の海水の動きは表層循環と深層循環に分けて考えることができます。海洋の表層循環は大気の偏西風や貿易風によって駆動されています。表層循環のうち特に強くなっているところが海流と呼ばれて黒潮、メキシコ湾流、アグルハス海流、南極周回流のような名前がつけられています。北太平洋には黒潮、北大西洋にはメキシコ湾流、南インド洋にはアグルハス海流という強い流れがあり、いずれも大洋の西側に位置しています。これらの海流は赤道から離れるように流れていて、亜熱帯で太陽光によって温められた海水を亜寒帯に運びそこでは大気を温める役割を果たします。日本近海を流れる黒潮は、その流れ一帯の海水が青黒い色に見える事から名付けられました(#42参照)。これは熱帯起源の海水が貧栄養であるためプランクトンの生息数が少なく透明度が高いことを意味します。黒潮は日本で名付けられたのでそのままKuroshioという英語名で呼ばれています。世界中の強い海流や大気の偏西風など地球上を巡る大きな流れは、地球の自転の影響を受けて北半球では圧力が高い方を「右」に見るように進みます。南半球では圧力が高い方を「左」に見るように進みます。