45. 海洋汚染ってなに?

窒素やリンのような栄養分の他にも、産業・生活排水を通して、いろいろな物質が海に流れ込んでいます。このなかには海の生き物や私たちの健康に悪い影響をおよぼす物質があります。これらの物質が海に持ち込まれることを「海洋汚染」といいます。廃棄物を捨ててしまうことや、船の運航や事故によって油が流れ出てしてしまうことも、海洋汚染の原因の一つです。最近特に問題になっているのは、プラスチックごみによる汚染です。これまで人間が廃棄してきたプラスチックごみは、大小さまざまなサイズのプラスチック片として海の中に漂っていて、その結果、多くの海洋生物の体の中にも取りこまれてしまっているのです。これが深刻なのは、プラスチック片が海水中の有害な化学物質をくっつけて集めてしまう性質があるためです。このような物質はいったん取りこまれると、体の中に蓄積することがあります。また、その生物を餌として食べてしまった生物の体内では、さらに高い濃度で蓄積してしまう「生物濃縮」がおこります。このため汚染物質は、食物連鎖をとおして上位の捕食者の体にいっそう濃縮されてしまうのです。じつは、私たちが食べる魚は汚染物質が濃縮されている場合が多いので、人にも悪い影響がでる危険があります。そのため、海洋汚染をへらして海洋環境を守るための国際的な取り込みが行われています。