番外編

● 海洋学ってどんな学問?

海洋の研究は様々です。分野で分ければ、主に水やエネルギーの動きを扱う海洋物理学、海水中に含まれる物質を扱う海洋化学、海洋に生息している生物を扱う生物海洋学があります。これまで海洋生物学は聞いたことがあるかもしれませんが、生物海洋学は聞いたことがないという人が多いかもしれません。海洋生物学(Marine Biology)は海洋に生きている生物そのものを研究する学問ですが、生物海洋学(Biological Oceanography)は生物の観点から海洋を研究する学問です。海洋物理学(Marine Physics)や海洋化学(Marine Chemistry)も本来、物理海洋学(Physical Oceanography)や化学海洋学(Chemical Oceanography)を使うべきですが、対象自体がはっきりと違うわけでないので、英語では後者を使う人も日本語では前者を使っている人が多いようです。このほかに海底のことを扱う海洋地質学・地質海洋学(Marine Geology・Geological Oceanography)や、水産生物に関連することを中心的に研究する水産海洋学(Fisheries Oceanography)、沿岸の現象を中心に研究する沿岸海洋学(Coastal Oceanography)といった分野もあります。もちろんそれぞれの研究者は、それぞれの専門を生かして研究していますが、当然他の分野と一緒に研究をする必要があります。例えば、プランクトンが海でどう生活しているかを研究するには、水の動きのことも知っている必要がありますし、水の中の化学物質のことも知っている必要も出てきます。さらに、海洋学だけではなく、海に影響を与える気候や気象、大気化学などのことについても知っている必要があります。