基盤研究(A)⁄  Grant-in-Aid for Scientific Research (A)

超小型衛星による、宇宙空間からの太陽中性子観測分野の開拓 Exploration of Solar Neutron Observations from Space Using Micro/Nano-satellites

宇宙天気への応用 Application to Space Weather

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人類の生活がGPSや衛星放送、気象衛星など宇宙インフラに強く依存している現代、太陽フレアや後続の質量コロナ放出などによって大量の電磁波・荷電粒子が 地球に到来すると、地球磁場や大気の擾乱をもたらし、衛星自体が故障する、電波通信障害を引き起す、大規模停電が発生するなどの甚大な被害がありうる。 100年に1度の巨大なフレアでは全世界で10兆円規模の経済損失になると予想されている。人類が台風や地震で自然災害を被るのと同様に宇宙の状況によって も地球上で災害がおきうるため、太陽活動などを監視することで未然に防ぐ宇宙天気予報の重要性が高まっている。 我が国は太陽観測衛星「ようこう」や「ひので」を打ち上げてきたが、観測データを地上で得るまでに半日程度の時間を要し、宇宙天気予報には 向かない。したがって、今現在は宇宙天気に使われる主要な情報は、他国の衛星に頼らざるを得ない状況である。これは危機管理上、問題がある。 この解決策として、自前で超小型衛星ネットワークを形成することで太陽活動を常時監視し、大規模太陽フレアが発生したらすぐに速報できる体制を整えることが 考えられる。本研究で開発する太陽フレア用のガンマ線・高エネルギー粒子観測センサと、最近開発が進んできた特定小電力無線を組み合わせ、速報機能を 付加する。そして、キューブサットに搭載することで宇宙空間で巨大太陽フレアが起きたことを検知し、即座に地上へ通報し、さらに遅れて到来する高エネルギー粒子 (陽子や中性子)までも情報を取得できるシステム構築する。これにより通信端末さえもっていれば、誰しもが宇宙から太陽活動の情報を無料・リアルタイムで得られる世の中を目指す。
宇宙天気応用
図4: センサの宇宙天気予報への応用