本領域の目的と研究戦略

本領域の目的

 現代において、人類の宇宙探査と宇宙利用は急速な広がりをみせています。その結果、太陽と宇宙のダイナミクスは地球環境と人間社会にも重大な影響を与えることが分かってきました。しかし、太陽フレアなど太陽で起きる爆発現象の発生機構とその影響に関する詳細なメカニズムは未だ十分に解明されていません。それ故、高度に発達した情報化社会は、将来起き得る巨大な太陽面爆発に起因した激烈な宇宙環境変動に対して潜在的なリスクを抱えています。
 一方、太陽地球圏環境変動の原因となる太陽黒点活動は約11年の周期で活発化しますが、現在の第24 太陽周期は黒点数が近年になく少ない周期となりつつあり、太陽活動が大きく変化している可能性も指摘されています。さらに、太陽活動が地球の気象・気候に影響を与えることを示唆する多くのデータがありますが、その原因は未だ解明されていません。その為、太陽活動の評価は気候変動予測における大きな不確定性の原因にもなっています。
 本領域は、我が国が世界に誇る最新の観測システムと先進的な物理モデルの融合によって太陽地球圏環境の変動探る分野横断研究を展開し、科学研究と予測研究の相乗的な発展を推し進めるものです。これによって、太陽フレア発生機構、地球放射線帯の生成機構、太陽活動変動の気候影響過程といった科学的重要課題の解決を目指します。同時に、宇宙天気予報の飛躍的な発展を実現することで、将来必ず発生する激甚宇宙天気災害にも対応可能な社会基盤の形成を推進します。

太陽から放出される巨大なコロナ質量放出の衛星観測像と その結果として地球において現れる太陽地球圏環境変動の様々な社会影響

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本領域の研究戦略

 本領域では観測とモデルの密接な連携を通して太陽地球圏環境変動を物理モデルに基づき予測するための分野横断研究を推進します。同時に、その予測結果に基づく宇宙天気予報を定量的に評価することで科学研究と予測研究の相乗的な発展を実現します。これにより、長年未解決であった科学的重要課題の抜本的解決と社会基盤としての宇宙天気予報の飛躍的な発展を共に達成することを基本戦略としています。このため、物理モデルと社会に役立つ予報情報を相互につなぐ双方向宇宙天気予報システムの開発を担当する予報システム班(A01)、太陽嵐の発生機構の解明と予測を担う太陽嵐班(A02)、地球電磁気擾乱現象の機構解明と予測を総合的に推進する地球電磁気班(A03)、太陽活動11年周期とその気候影響の原因を探る周期活動班(A04)及びこれらと密接に連携した多角的な公募研究をそれぞれ組織しています。さらに、総括班は領域全体の研究戦略を多角的な視点から策定すると共に領域研究の成果を総合することで、将来起きる激甚宇宙天気災害に対応するために不可欠な情報をとりまとめ、社会に広く提供していきます。

本領域の組織構成と研究戦略

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