ナイジェリアで赤道電離圏に関する国際スクールISELLI-2を開催

総括班・A03班 塩川和夫(名古屋大学)

ナイジェリア国立宇宙研究開発機構(NASRDA)の大気科学研究センター(CAR)と共同で、赤道電離圏に関する国際スクール(2nd International School on Equatorial and low-latitude ionosphere (ISELLI-2))を、ナイジェリア・ラゴス郊外のオタのコビナント大学で9月11-15日に開催しました。赤道電離圏は、プラズマバブルと呼ばれる電離圏のプラズマ不安定現象が発生して、衛星-地上間通信を妨げたり衛星測位の誤差を引き起こしたりする重要な領域です。特にGPSに代表される衛星測位がカーナビだけでなく航空管制などより広く使われるようになるにつれ、この赤道電離圏の研究は東南アジアやアフリカなどの赤道周辺の国々でより注目されるようになってきました。この国際スクールでは、ナイジェリア、エジプト、コートジボワール、ウガンダ、カメルーン、ケニア、インドの7カ国から38名の大学院生が参加し、名古屋大学、九州大学、米国ボストン大学、ナイジェリア、コートジボワールの14名の講師から、赤道電離圏の変動やプラズマ不安定現象、計測方法、宇宙天気予報、太陽地球系科学などの基本的な講義を受けました。コビナント大学はキリスト教系の私立大学で、大変な喧噪の街から一歩大学構内に入ると、よく整備された広大なキャンパスが広がり、ここで8000人以上の学生が学んでいます。ナイジェリアでは頻繁に起きる停電も巨大なバッテリーをつないだプロジェクターでしのぎながら、国際スクールの参加者は赤道電離圏の変動と今後のアフリカや国際コミュニティの中での研究の方向性について、活発な議論を展開しました。このスクールは名古屋大学宇宙地球環境研究所、CAR/NASRDA、コビナント大学の他に、日本学術振興会研究拠点形成事業B.アジアアフリカ学術基盤形成型、新学術領域研究(PSTEPプロジェクト)、特別推進研究(PWINGプロジェクト)、九州大学国際宇宙天気科学教育センター、及びSCOSTEP/VarSITIの支援により開催されています。


ISELLI-2の参加者の集合写真。

講義の様子。