太陽観測衛星「ひので」10周年科学国際会議Hinode-10

 新学術領域PSTEPの研究にとっても重要な役割を果たす太陽観測衛星「ひので」の10周年科学国際会議Hinode-10が名古屋大学で開催され、本領域はその実施に協力しました。
 「ひので (Hinode)」衛星は日米英欧の協力によって開発された太陽観測衛星であり、太陽面とその周りのコロナを世界で最も安定かつ精密に観測することができる3台の太陽望遠鏡を搭載しています。「ひので」は2006年にJAXAによって打ち上げられて以来、現在に至るまで10年間連続した観測に成功し、すでに1,100編を超える学術論文を生み出すなど、日本の宇宙観測衛星として最も成功したミッションの一つであるといえます。Hinode衛星は特に太陽表面磁場の精密な観測によって、太陽フレア発生に磁場のねじれと特定の構造を持つ小規模磁場が共に関わることなどフレア発生予測に繋がる重要な発見をこれまでしてきました。このため、物理モデルに基づく新たなフレア予測を目指した本領域の太陽嵐班(計画研究A02)の研究においても、重要な役割を果たしています。
 今回、ひので衛星の10周年を記念する国際研究集会Hinode-10 Science Meetingが、名古屋大学坂田・平田ホールにて9月5日より9日まで開催されました。本領域はA04班の櫻井隆国立天文台名誉教授が科学組織委員会(SOC)委員長、領域代表者の草野完也名古屋大学教授が開催地組織委員会(LOC)委員長を担うと共に、多くの領域関係者が同会議の運営と実施のために様々な役割を果たしました。また、開催経費の一部を負担することによって同会の実施に大きな貢献を行いました。
 同会議には日本、米国、英国をはじめ、ノルウェー、スペイン、ドイツ、ロシア、チェコ、フランス、インド、中国、韓国、エジプト、イランなどから160名を超える研究者が参加し、10年間のひので衛星による様々な科学成果について活発な議論が繰り広げられました。また、会議の最終日(9月9日)には、次世代の太陽観測衛星計画SOLAR-Cの科学戦略を検討する国際研究集会 SOLAR-C Science Meeting も実施され、ひので衛星の成果を基にした太陽物理学の新たな発展について検討されました。なお、本会議は宇宙地球環境研究所の国際共同研究集会及び国立天文台のNAOJシンポジウムとしても認められています。
 さらに、9月10日には同じ名古屋大学坂田・平田ホールにて、一般市民を対象とした「ひので衛星10周年記念講演会:太陽観測から宇宙と地球を探る」を国立天文台、名古屋大学宇宙地球環境研究所、JAXA宇宙科学研究所が共同開催し、220名を超える多くの市民のみなさんの参加を得ることができました。一般講演会の様子は下記のサイトでインターネットでも視聴することができます。

・Hinode-10 Science Meeting http://hinode.stelab.nagoya-u.ac.jp/Hinode10/
・SOLAR-C Science Meeting http://hinode.nao.ac.jp/SOLAR-C/
・ひので衛星10周年記念講演会http://www.nao.ac.jp/news/notice/2016/20160711-hinode-lecture.html

hinode-10-1

Hinode-10の参加者による集合写真

hinode-10-2

Hinode-10の口頭発表会場(名古屋大学坂田・平田ホール)

hinode-10-3

Hinode-10の口頭発表会場(名古屋大学坂田・平田ホール)

hinode-10-4

会場に展示された「ひので衛星」の模型

hinode-10-5

ポスター・セッションの様子

hinode-10-6

エクスカーションのひとコマ(名古屋城)

hinode-10-7

バンケット会場(ウェスティン名古屋キャッスル)