飛騨天文台で新太陽全面像観測装置が稼働 フィラメント高速運動の初観測に成功!

 太陽嵐班(A02、研究代表者:一本潔(京都大学))では、太陽から高速に飛び出すフィラメント放出現象を観測するために、京都大学飛騨天文台(同大学院理学研究科附属)のSMART望遠鏡に全面速度場撮像装置(Solar Dynamics Doppler Imager; SDDI)を新設しました。従来の装置で観測できるフィラメントの噴出速度は最大60km/秒だったのに対して、新しい装置は最大400km/秒まで捉えることができます。この装置を望遠鏡に設置して約1週間後の5月4日に、約200km/秒で運動するフィラメント活動の観測に初めて成功しました。今後多数のフィラメント放出の運動を正確に観測することで、地球を襲うコロナ質量放出現象(CME)との関係を調査して、太陽地球圏環境の予測に活かしていきます。

URL: http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/topics/kako.html

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京都大学飛騨天文台 高分解能太陽全面像望遠鏡(SMART)

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2016年5月4日の太陽全面像。太陽の東縁領域(白の四角)で、フィラメントの高速運動を観測しました。

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新全面像速度場撮像装置で捉えられた秒速180kmの高速で動くフィラメント