PSTEP-3国際シンポジウム開催報告

2018年5月16日(水)~18日(金)に、情報通信研究機構小金井本部4号館2階大会議室において、第3回「太陽地球圏環境予測」国際シンポジウム(Project for Solar-Terrestrial Environment Prediction; PSTEP-3)が開催されました。
今回の国際シンポジウムは3回目となり、主に電離圏・磁気圏研究及び宇宙天気現象の社会影響を中心テーマとして開催されました。
 会合はNICT細川瑞彦理事の開催宣言および歓迎の辞で始まり、国内外から71名(外部外国人研究者15名)が出席するなか、口頭講演36件、ポスター講演13件が発表されました。特に事業者として、ロイズジャパンのイアン・ファーガソン社長が講演されたほか、三菱電機、NEC等民間企業の参加もあり活発な議論がなされました。

講演の様子

 電離圏および電波伝搬のセッションでは、GAIAを始めとするモデル構築の現状とCOSMICやGNSS等の衛星を用いた観測等の先進的な研究成果の発表に加え、それらの結果を電波伝搬シミュレータに利用したリアルタイムシミュレーションの可能性が議論されました。また磁気圏放射線帯では人工衛星 “あらせ” で得られた放射線帯情報を衛星帯電等のモデルに生かしていく議論がなされました。航空機被ばくの分野においては、日本が構築している被曝予測システムWASAVIESと欧州で開発しているAVIDOSの比較を行い、今後共同で検証していく可能性等が議論されました。地磁気誘導電流については、豪州および日本についての電力網への影響について最新の成果が発表されました。
また、各国が宇宙天気災害についての国家戦略を構築する中で、PSTEPの枠組みの中で進めているハザードマップや電力網・人工衛星への定量的な影響について検酎しました。 さらに、今後の国際連携の一例として、11 月にベルギーで開催される European Space Weather Weekに欧州の研究者と共同セッションを立ち上げるなどの検討がなされました。
 今後PSTEPの成果を取リまとめるにあたり、国際展開をより活発にする足がかりのひとつとして成果を挙げることができました。外国人招聘等会議運営につきましては、特に名古屋大学宇宙地球環境研究所のスタッフの方々の多大なるサポートを頂きました。この場をお借りして御礼申し上げます。

集合写真

(石井守/情報通信研究機構)