チェレンコフ望遠鏡アレイ計画の試作望遠鏡による宇宙線空気シャワーの初観測に成功
2015-12-09
名古屋大学宇宙地球環境研究所は、超高エネルギーガンマ線観測用の国際天文台であるチェレンコフ望遠鏡アレイ(Cherenkov Telescope Array、CTA)計画に取り組んでいます。従来のガンマ線望遠鏡では観測の困難であった 100テラ電子ボルト(100 × 1012 eV)を超えるガンマ線を感度良く観測するため、CTA では主鏡直径が約4 m の小型望遠鏡をチリ共和国に 70 台設置する予定です。宇宙地球環境研究所の宇宙線研究部はこの望遠鏡の焦点面カメラの開発を推進してきました。
2015年12月1日、複数ある望遠鏡設計のうち ガンマ線チェレンコフ望遠鏡(Gamma-ray Cherenkov Telescope、GCT)と呼ばれる望遠鏡の試作機の完成式典がパリ天文台にて行われました(図1)。GCT 試作望遠鏡は6枚の分割鏡からなる主鏡、単一の副鏡、そして図2に示す2048 画素を有する焦点面カメラで構成されます。
完成式典に先立ち、11月26日の夜間に行われた望遠鏡とカメラの稼働試験において、CTA 計画としては初めての宇宙線空気シャワーの観測に成功しました。図3 はこのカメラで撮影された宇宙線空気シャワー像の例です。
超高エネルギーガンマ線や宇宙線が地球大気に衝突すると空気シャワーと呼ばれる現象を起こし、大気チェレンコフ光という紫外線を主とした短時間の発光が起きます。この大気チェレンコフ光を図 1 の望遠鏡の主鏡と副鏡で集光し、焦点面カメラで 1 ナノ秒(10 億分の 1 秒)ごとに撮影したものが図3の「写真」です。
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図 1‒2:奥村 曉(宇宙地球環境研究所) 図 3:The CTA Consortium |