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IPS観測から太陽風の加速と密度乱流の密接な関係を解明

2021-11-26

太陽圏研究部では電波天体の”またたき”現象(IPS)の観測を通じて太陽風の研究を行っています。IPSデータを計算機トモグラフィーで解析することで、太陽風速度の全球的な分布を決定できます。1985年から2019年の期間に取得されたIPSデータからは太陽風の大規模構造が太陽活動周期に伴って大きく変化していることがわかります。本研究では、IPSから求めた太陽風速度と飛翔体観測と比較したところ、両者に系統的な食い違いがあることを発見し、それが太陽風の密度乱流特性の長期変化によるものであることを突き止めました。このことは太陽風の加速効率と密度乱流が密接な関係にあり、その関係が太陽活動の長期変化に依存していることを示しており、太陽風加速機構の謎を解明するための重要な手掛かりとなります。

発表論文
Tokumaru, M., K. Fujiki, M. Kojima, and K. Iwai, Global distribution of the solar wind speed reconstructed from improved tomographic analaysis of interplanetary scintillation observations between 1985 and 2019, Astrophysical Journal, 922:73 (18pp), 2021,
https://doi.org/10.3847/1538-4357/ac1862.


1985~2019年に期間にISEE IPS観測によって得られた太陽風速度の全球的分布(Tokumaru et al., 2021より引用)