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トンガ火山噴火後に同心円状に拡がる電離圏変動をGNSSで観測
-- 噴火による空気の振動が高度約300kmまで到達 --

2022-01-26

南太平洋の島国トンガで1月15日に発生した大規模火山噴火の影響は、地上約 300kmに位置する電離圏まで到達していたことが分かりました。噴火による空気の振動は、津波を起こしただけなく、音波として上方に伝搬し、電離圏プラズマの変動を引き起こしたと考えられます。

電磁気圏研究部の大塚雄一准教授と新堀淳樹特任助教、惣宇利卓弥(理学研究科 D2)らは、情報通信研究機構との共同研究において、世界各地に設置された9,000 台を越えるGNSS(Global Navigation Satellite System; 全球測位衛星システム)受信機データを収集・解析し、全電子数(電離圏のプラズマ密度の積分量)の二次元分布を高時間・空間分解能で調べることにより、火山噴火から同心円状に拡がる電離圏変動を明らかにしました。

同心円状に広がる電離圏変動は、2004年のスマトラ地震や2011年の東北地方太平洋沖地震など巨大地震の後にも観測されていますが、火山噴火によってこれほど広範囲に拡がる大きな変動は初めて観測されました。このトンガ火山噴火による電離圏変動は、遠く離れた日本にも到達していることが分かっており、今後、電離圏まで届く大気の波がどのようにして励起され、伝搬するかを明らかにする予定です。

2022年1月15日の全電子数変動の分布。図中の星印がトン ガ火山噴火の位置。全電子の変動が同心円状に拡がる様子が見られる。