トンガ海底火山噴火による地球大気振動の観測成功 ～電離層擾乱から気象津波の情報をいち早くキャッチ～

2022-07-14

電磁気圏研究部 新堀淳樹特任助教、大塚雄一准教授、惣宇利卓弥 博士後期課程学生(D3)、国際連携研究センター 西谷望准教授らの研究グループは、全球測位衛星システム(GNSS)、気象衛星ひまわり、SuperDARN北海道レーダーなどのデータを解析し、南太平洋トンガ沖の海底火山の大規模噴火に伴って発生した気圧波と同期した同心円上の電離層擾乱が、地球規模で広がっていく様相を捉えることに成功しました。
観測データにおいて、オーストラリア上空で観測された電離層擾乱と同期した変動が、約6800 km離れた日本上空で気圧波が到来する3時間前に見られました。これは、大気中を進む気圧波が、ほぼ音速に近い315 m/sで伝搬するのに対し、磁力線に沿って伝わる電離層の擾乱は、1000 km/sと高速で伝わったことを意味します。本研究では、擾乱が高速で伝わるメカニズムを明らかにしました。
今後、電離層擾乱の情報を活用することで、火山噴火等に起因する津波アラートへの応用が期待されます。
本研究成果は、2022年7月13日付で地球科学の総合国際学術雑誌「Earth, Planets and Space」に掲載されます。

論文情報:
Atsuki Shinbori, Yuichi Otsuka, Takuya Sori, Michi Nishioka, Septi Perwitasari, Takuo Tsuda, and Nozomu Nishitani, Electromagnetic conjugacy of ionospheric disturbances after the 2022 Hunga Tonga‑Hunga Ha’apai volcanic eruption as seen in GNSS‑TEC and SuperDARN Hokkaido pair of radars observations, Earth, Planets Space, 2022. https://doi.org/10.1186/s40623-022-01665-8.

名古屋大学からのプレスリリース: https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2022/07/post-285.html