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宇宙嵐を発達させるのは地球起源のプラズマであることを発見

2023-10-31

国際連携研究センターのLynn Kistler教授(米国ニューハンプシャー大学とのクロスアポイント)、統合データサイエンスセンターの三好由純教授、堀智昭特任准教授らは、宇宙航空研究開発機構の浅村 和史 准教授、篠原 育 教授、東京大学の笠原 慧 准教授、桂華 邦裕 助教、大阪大学の横田 勝一郎 准教授、及び米国研究者との国際共同研究を行い、「あらせ」衛星、米国および欧州の科学衛星による観測結果から、宇宙嵐を引き起こしているのは、従来原因と考えられてきた太陽起源のプラズマよりも、地球起源のプラズマが主要因であることを発見しました。

強い宇宙嵐が起こると、人工衛星の機能障害や、GPS の測位精度の低下、さらには地上での停電など、私たちの日常生活にも大きな影響が及びます。本研究成果は、宇宙嵐による宇宙環境の変化を理解したり、宇宙嵐を予測したりするためには、太陽からのプラズマだけではなく地球からのプラズマの挙動を正確に理解する必要があることを示しており、これまでの宇宙嵐の理解に大きな変革を迫るものです。

本研究成果は、2023年10月30日発行のNature Communicationsに掲載されました。

プレスリリース
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/upload_images/20231031_isee.pdf

Nature Communicationsの掲載論文:
The variable source of the plasma sheet during a geomagnetic storm Kistler, L.M., K. Asamura, S. Kasahara, Y. Miyoshi, C.G. Moukis, K. Keika, S.M. Petrinec, M. L. Stevens, T. Hori, S. Yokota, and I. Shinohara
Nature Communications, 14, 6143, doi:10.1039/s41467-023-41735-3, 2023
https://www.nature.com/articles/s41467-023-41735-3


図1: 日米欧の連携による太陽風とジオスペースの観測

上)宇宙嵐の大きさを示すSym-H指数。マイナスに大きく振れるほど強い宇宙嵐が起きていることを示す。2017年9月8日 01:00世界標準時に、宇宙嵐が最も強く発達した。
中)「あらせ」衛星が内部磁気圏で計測した水素イオン、酸素イオン、アルファ粒子の 密度。宇宙嵐の前は、水素イオン(黒線)が多いのに対して、宇宙嵐が進行するに対れて 酸素イオン(青線)の量が水素イオンを上回ることがあるのがわかる。
下) アルファ粒子と水素イオンの割合を太陽風(黒)、プラズマシート(赤)、 あらせ衛星(青)で計測した結果。青線が黒線と重なった場合は太陽風起源であることを、 黒線とずれた場合は地球起源であることを意味する。9月7日の20時までは、内部磁気圏の イオンは太陽風起源が主であったが、その後、宇宙嵐の発達とともに地球起源の イオンが主となっていることが分かる。

関連リンク:
名古屋大学
 https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2023/10/post-578.html
太陽圏サイエンスセンター/ERG:
  https://ergsc.isee.nagoya-u.ac.jp/research/index.shtml.ja
JAXA/宇宙科学研究所:
  https://www.isas.jaxa.jp/topics/003562.html