北極域での気温上昇によって 氷晶形成にかかわるエアロゾルは増加する
2024-10-01
気象大気研究部(飛翔体推進センター兼務)の大畑 祥 助教は、国立極地研究所の當房豊准教授を中心とする、気象研究所、名古屋大学、東京大学、ノルウェー大気研究所(NILU)の国際共同研究グループと共に、気温上昇により北極陸域の雪氷の融解が進むことで、雲の中での氷晶(氷の微小な結晶)の形成を強力に促進する性質を持つエアロゾルが大気中に飛散しやすくなり、それらの濃度が劇的に増加することを明らかにしました。このことは、温暖化の影響によって、北極域上空の雲の中では氷晶の形成が起きにくくなると予測されていた従来の仮説を修正し得る発見になります。本成果は、北極域上空の雲の生成・消失過程を理解する上での重要な手がかりとなり、北極域で急速に進行する温暖化によって生じるエアロゾルや雲の変化の予測精度の向上につながると期待されます。
論文情報
雑誌: Communications Earth & Environment
題名: Surface warming in Svalbard may have led to increases in highly active ice-nucleating particles
著者: Y. Tobo, K. Adachi, K. Kawai, H. Matsui, S. Ohata, N. Oshima, Y. Kondo, O. Hermansen, M. Uchida, J. Inoue, M. Koike
DOI: 10.1038/s43247-024-01677-0
URL: https://doi.org/10.1038/s43247-024-01677-0
名古屋大学からのプレスリリース
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2024/10/post-732.html