“台風の眼”に測器投下、取得データの高精度を実証
~世界各国の数値予報で活用、台風観測が大きく前進~

2024-10-25

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学宇宙地球環境研究所の 金田幸恵 特任准教授は、名古屋大学宇宙地球環境研究所 坪木和久 教授を中心とする名古屋大学、明星電気株式会社、国立研究開発法人防災科学技術研究所の共同研究グループとともに台風の航空機観測のための投下型気象観測測器を日本では初めて開発。その性能を独自の投下型検証システムを用いて2024年3月に検証実験し、定量的に評価しました。その結果、この気象測器が気象庁の高層気象観測で用いられている気象測器とほぼ同等の気温と風を測定できることを明らかにしました。
2024年10月には台風第19号を対象にこの気象測器の最新型を用いた航空機観測が実施され、測定値が世界中に配信され気象機関の数値予報システムに組み込まれました。台風の中心付近の測定値を得ることで台風の進路や強度の予測精度の一層の向上が期待されます。
本研究は、2021年度から始まったJSPS科研費(S)21H04992『航空機観測によるスーパー台風の力学的・熱力学的構造と強化プロセスの解明(研究代表者:坪木和久)』の支援のもとで行われたものです。

論文情報:
雑誌:The Scientific Online Letters on the Atmosphere (SOLA)
題名:Evaluation of newly developed dropsonde for aircraft observation
著者:Kanada, S., M. Kato, K. Tsuboki, T. Ohigashi, S. Hirano, K. Shimizu, R. Nozawa, A. Yoshimura, Y. Goto, K. Tsukagoshi
DOI:10.2151/sola.2024-050
URL: https://doi.org/10.2151/sola.2024-050
名古屋大学からのプレスリリース
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2024/10/post-742.html

右上:航空機観測で使用する小型ジェット機(Gulfstream IV)
右中央:本研究プロジェクトで開発・検証した航空機観測用の気象測器ドロップゾンデ
背景:2017年航空機観測時の小型ジェット機からの展望:高度43000フィートからスーパー台風ランの眼を望む(坪木和久 教授 撮影)