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宇宙の電波灯台を使って現在の太陽活動極小期における太陽風流源のプラズマを診断

2022-01-20

かに星雲の中心には高速で回転しつつ電波を放射する天体、パルサーがあります。地球でパルサーを観測すると電波パルスが周期的に受信されるので、まるで灯台のようです。この宇宙の電波灯台からの信号には、経路上にある宇宙空間プラズマの密度の情報が含まれています。太陽圏研究部では、かにパルサーが見かけ上、太陽に近づく時期に本研究所豊川分室の大型電波望遠鏡を用いて観測を行い、取得したデータから探査機では測定が困難な太陽近傍のプラズマ密度分布を決定しました。サイクル24では太陽活動が著しく低下し、太陽風密度の減少が報告されていたことから、太陽近傍で何がおきているか関心が高まっています。本観測の結果から、現在のサイクル24/25極小期における太陽風流源のプラズマ密度は過去の極小期と似ていることがわりました。このことは太陽近傍のプラズマがサイクル24の低密度な状態から回復したことを示唆しています。

発表論文
Tokumaru, M., Maeda, R., Tawara, K. et al. Coronal Density Measurements Using Giant Radio Pulses of the Crab Pulsar at the Cycle 24/25 Minimum. Sol Phys 297, 10 (2022). https://doi.org/10.1007/s11207-021-01939-6

図 かにパルサーの観測による太陽コロナのプラズマ密度測定