太陽放射スペクトルに対する地球電離圏の応答
太陽放射が地球の中性大気を電離することにより、電離圏が生成されます。本研究課題では、太陽放射の変動に対する地球電離圏の電子密度や電気伝導度の応答を、定量的に解明していきます。この課題において現状は、太陽電波指数(F10.7)などの一日ごとの指数で表した太陽放射強度と、電離圏の物理量の関係が調べられていますが、太陽放射スペクトルと電離圏応答の関係は、特に太陽フレア時には定性的にもよく分かっていません。
本研究では、太陽放射指数ではなく、波長依存性を持つ太陽放射スペクトルと、電離圏の電子密度および電気伝導度の関係を、数値計算を用いて予想します。太陽放射スペクトルモデルを入力とし、結果の検証は、現行のEISCATレーダーが観測する電離圏密度の高度方向分解データ、およびイオノゾンデによるE層電子密度ピーク高度データとの比較により行います。将来は、2028年打ち上げ予定のSOLAR-C衛星が取得する太陽放射スペクトルデータ(17-122 nm)を入力として、結果の検証は、EISCAT-3Dレーダー観測(2026年運用開始)との比較により行います。
地球電離圏の研究において、これまで、太陽放射は太陽電波指数などで表されてきました。今後、SOLAR-C衛星の太陽放射スペクトル観測により、太陽放射の時間変化が波長によって異なることが明らかになってくることが予想されます。本プロジェクトでは、SOLAR-C衛星打ち上げに先駆けて、太陽放射スペクトルに対する電離圏の応答を予想していきます。

図注:太陽放射による地球の中性大気の電離。SOLAR-C衛星では、17-122 nmの画像に加えて、
20 nmと水素Lyman-α(122 nm)での太陽全面を積分した高時間分解モニター観測が行われる。
