24. オーロラは人工的に作れるの?

作れます。胃の検査のときに使うバリウムなど、電離しやすいタネをロケットに積み込み、地上100km以上で放出してやるだけのことです。この人工オーロラの実験は、オーロラの原理を試すというよりも、むしろ上層大気の風や電磁場の強さを測定する手段として使われます。人工オーロラの動きを観測して、上層大気の電気の状態を捉えるのが目的なのです。

発射されたバリウムの一部に、太陽の紫外線が当たって電離されイオンになります。イオンは紫や赤の光を放ち、残された中性のバリウムはグリーンに光ります。このように、人工オーロラの実験には太陽光が必要なため、地球が丸いことを利用して、実験は日没頃に行われるのが通常です。地上ではうす暗くなって、つくられたオーロラが観測しやすいためです。

また、実験室でオーロラをつくることもできます。有名なのは、近代オーロラ科学の創始者ビルケランド(オスロ大学教授)の実験です。19世紀末、真空にした箱の中に地球に見たてた磁石を置き、横の方からプラズマを当て、オーロラが発生することを示しました。これは、太陽風プラズマが発見されるずっと前のことです。

ビルケランドの実験と原理的に同じ装置は、東京にある科学技術館を始めとして、全国の科学館にいくつか置かれています。