28. IHクッキングヒーターなどの電磁調理器も電波を使っている?

最近では、IHクッキングヒーターといわれる電磁調理器が普及してきました。電気会社が宣伝している「オール電化」にもあげられています。火の出ない板の上に置いた鍋が熱くなるというの ですから、不思議ですね。

電磁調理器は電子レンジとは違い、鍋自体が熱くなり、その熱で調理します。つまり、火を使って料理する場合と同じです。では、板ではなく、鍋だけが熱くなるのはなぜでしょうか?

電磁調理器の板の裏側にはコイルが巻いてあり、そこに数十キロヘルツ(kHz)の交流電流(プラスとマイナスが短時間に入れ替わる電流)が流れています。電流の向きが入れ替わるのですから、板の上に発生する磁場も交流磁場*です。板の上に金属の鍋を置くと、この交流磁場によって、鍋の底の部分に電流が流れます。この電流が金属の中を流れるときに熱を出し(ジュール熱といいます)、鍋が熱くなるという仕掛けです。この原理を専門的に「誘導加熱」といいますが、「IH」は誘導加熱の英語 Induction Heating の略です。

電波を使って温める電子レンジとは違い、電磁調理器は電波を使っているわけではありません。

*交流磁場:交流電流によって発生する磁場のこと。電流の流れる方向が変わるのに対応して、N極とS極の極性が変化します。