42. 宇宙からも電波はくる?

宇宙からは、実にさまざまな電波がやってきます。太陽のように自分で光っている星(恒星)や太陽の周りをまわる惑星などからは、天体自体の温度で決まる電波(熱放射もしくは黒体放射)が放射されています。この熱放射による電波は、温度を持つ物体すべてから出てくるもので、人間からも体温にしたがった電波が出ています。

私たちの太陽系がある天の川銀河(銀河系)や他の渦巻き状の銀河の中心部分には、ブラックホールがあるとされ、そのブラックホールからも、非常に強い電波が出ていると考えられています。ブラックホールのすぐ近くにある高温のガスに含まれる電子は、ブラックホールが持つ強い磁場の方向に、光に近い速度で動き、この動きから電波が発生すると推測されているのです。

さらに、ビッグバンといわれる、宇宙が誕生したときの大爆発(火の玉宇宙)の光のなごりが、宇宙のはるか彼方から電波としてやってきています。ビッグバンの直後から、時間の経過とともに宇宙空間はどんどん広がっていき、今のような広大な宇宙となりました。最初の大爆発のときには非常に高温だった宇宙の温度が、宇宙空間が広がるにつれてどんどん下がり、今では絶対温度で約3ケルビン(摂氏-270℃)にまで下がっています。つまり、ビッグバンのなごりの光は、今は絶対温度3ケルビンに相当する熱放射の電波を出しているというわけです。1964年、電波を使った観測で偶然にもこの光が発見されたことで、「ビッグバン宇宙論」が確かなものとして理解されるようになりました。