21. どうしてオゾンホールは春にできるの?

南極でも北極でも、冬の間は緯度が高いので太陽の光が届きません。つまり、一日中真っ暗、という日が続くのです。そのため、南極・北極上空の成層圏は、冬の間マイナス 80℃まで気温が下がり、水蒸気などが凍って雲になります。この雲は、南極や北極の成層圏にできる特別な雲なので、極域成層圏雲(舌をかみそうですね)という名前が付けられています。そしてこの雲が、オゾンを壊すことのなかった物質から、塩素ガスを作り出してしまうのです。こうして、塩素ガスが冬の間にだんだんと溜まっていきます。

そして、春になると南極にも北極にも太陽の光があたるので、塩素ガスが太陽の光を受けてバラバラになり、塩素原子が作られます。しかも、冬に溜っていた大量の塩素ガスから出る塩素原子は当然、大量。こうして、春先には成層圏のオゾン層に「穴があく」わけです。フロンガスによるオゾン層の減少は、成層圏のどこでも起こり得るのですが、南極や北極の春には、上に書いたような特別な事情が影響しています。