23. 成層圏オゾンはどうやって調べるの?

成層圏は、高さにして 10-50 キロメートルぐらいのところにあることは、5に書きました。ジャンボジェット機が飛ぶのは、せいぜい 12 キロメートルの高さ。ではいったい、どのようにして、そんな高いところにあるオゾンの量を調べることができるのでしょう?

いくつか方法がありますが、最近は人工衛星を使って、宇宙から測定することも出来ます。記憶に新しいところでは、2002 年12 月に、日本で作られた人工衛星 ADEOS(アデオス、と呼んでいます)が種子島宇宙センターから打ち上げられました。宇宙から、地球の大気のことを調べる技術は、リモートセンシングと呼ばれます。

また、世界中の至るところに測定装置を置いて、地上から観測するネットワークも整えられています。名古屋大学宇宙地球環境研究所と国立環境研究所は、北海道の陸別町に協力して観測基地を持っており、世界的な観測に参加しています。北極で成層圏オゾン層が減少すると、本州や九州などにくらべて北極に近い北海道では、成層圏オゾンの変動や紫外線の増加などが起こる可能性が高くなりますので、北海道でのオゾン層観測は非常に重要な意味を持っているのです。いまのところ、生物に大きく影響するほどではありませんが、北海道上空では、1981 年から 2000 年までの 20 年間で、およそ 3%の成層圏オゾンが減ってしまったことが観測されています。