44. 光化学スモッグはどんなときに発生するの?

40 番で説明したように、対流圏にあるオゾンの材料は、二酸化窒素と太陽の光です。そのため、太陽の光が強くなる夏に、光化学スモッグは発生しやすくなるだろうと予想できますね。実際、日本では、夏場に光化学スモッグが発生しやすくなることが分かっています。日本付近の特徴的な気候も関係しています。

日本付近は、夏になると太平洋から張出してくる高気圧のせいで、天気が安定し、強い風も吹きにくくなります。その結果、自動車などから空気中に出された二酸化窒素は、都市の中にたまってしまうからです。

逆に、冬は太陽の光が夏よりも弱いですね。また、日本に限っていえば、冬には強い北西風が吹きやすいので、自動車や工場から二酸化窒素が出てきても、光化学スモッグが発生する前に飛び散ってしまうわけです。

ちなみに、スモッグという言葉の意味を知っていますか? これは、煙を意味する英語の smoke(スモーク)と、霧を意味する英語の fog(フォグ)とをいっしょにして作られた、わりと新しい言葉なんですよ。

典型的な夏の天気図。太平洋高気圧(ℍで表わす)が日本列島を支配している。強力な台風が台湾に近づいている。