44. 宇宙天気って何?

地球を取り巻く宇宙空間の状態のことを指して、宇宙天気と呼んでいます。つまり、太陽風が満たす惑星問空間や、磁気圏、電離圏、上層大気の状態のことをいいます。宇宙の天気は、人工衛星や工学技術、地上の生命にまで影響をおよぼします。「天気」というからには、いい天気、悪い天気がありますが、これはあくまで人間にとっていいか悪いかの話です。

オーロラの中を流れる電流が、地上の送電線に異常誘導電流を発生させ、変圧器やフレーカーの機能をマヒさせることが報告されています。カナダやスカンジナビアでのこうした停電は、同例も報告されています。誘導電流は、石泊パイプラインにも流れ、腐食が進む原因にもなりますし、パイプの温度を上げて周囲の生態系をも乱します。オーロラからの熱は、人工衛星の軌道を狂わせ、寿命を縮めます。通信障害は、飛行機や船舶の位置決定にも影響を及ぼします。

現代社会は、電力はもちろん、通信、人工衛星なしでは成立しないくらい、工学技術に依存しています。換言すれば、この文明社会は宇宙の天気に影響を受けるように発達してきたともいえるでしょう。今や、宇宙の「悪い」天気は、世界経済に打撃を与えるところにまできているのです。

オーロラは宇宙天気の1つの表れです。