35. 太陽風はどうして吹くの?

100 万度という高温のコロナガスは、強い圧力を持っていて、太陽の強力な重力を振り切って惑星間空間へと膨張し、吹き出すことができます。この惑星間空間へ吹き出したガスが、太陽風です。

では、太陽の重力は、太陽風が吹くのを邪魔しているのでしょうか。ちょっと意外かもしれませんが、実は、太陽風を高速に加速する役目をしているのです。花火の爆竹に例えると、分りやすいかもしれません。太陽の重力は、ほんの少しの火薬をぐるぐると包んでいる、紙筒の役目をしています。爆竹から火薬だけを取り出して火をつけると、ボッと小さな音で燃えるだけですが、紙筒で包まれた爆竹に火をつけると、強力な爆発をします。紙筒が、燃えた火薬の圧力を中に閉じこめ、外との間に大きな圧力の差を生み出し、限界に達したとき一気に爆発するからです。

太陽の重力は、コロナが膨張しようとする高い圧力を閉じこめ、惑星間空間との間に高い圧力差を作ります。この圧力差のおかげで、コロナのガスは秒速何百 km という超音速のガスとして、惑星間空間に吹き出すことができるのです。