名古屋大学 宇宙地球環境研究所
宇宙線研究部(CR 研究室)

陽子衝突でのスピン左右非対称性なπ0中間子生成を発見

宇宙線物理学研究室(CR 研)の伊藤好孝教授と毛受弘彰助教らが参加しているRHICf実験が測定結果に関するプレスリリースを行いました。RHICf実験は、アメリカのブルックヘブン国立研究所に設置されているRHIC加速器を用いて、高ネルギー陽子−陽子衝突の超前方領域に生成される光子や中性子などの生成量を測定する実験です。RHIC加速器では加速する陽子のスピン方向をそろえて衝突させます。この偏極ビームを用いることで、スピン方向に対する粒子生成の非対称性を測定し、陽子の内部構造や粒子生成のメカニズムについての知見を得ることができます。これまで、パイゼロ中間子生成のスピン非対称性の測定は、陽子陽子衝突の垂直方向など角度領域が限られていました。RHICf実験では初めて0度方向を含む衝突の超前方領域での測定に成功し、予想よりも大きな非対称性を発見しました。

この結果は、Physical Review Letters(オンライン版 6月22日, Vol. 124, 252501)に掲載されました。

当研究室のメンバーが、RHICf実験およびLHCf実験(CERN研究所のLarge Hadron Colliderを用いた同様の実験)を主導しています。両実験については、こちらを参照してください。

図:陽子陽子衝突とパイ中間子生成。上向き矢印が陽子のスピンの向きを表す。