14. 太陽で爆発がおきるのはなぜ?

目で直接見ると痛いほどまぶしい太陽ですが(*)、太陽からは目に見える可視光線のほかにも、レントゲン検査などで使うX線が出ています。この太陽からでてくるX線が急激に強まる現象は、太陽フレアと呼ばれています。ストレスをためて一気に爆発するのは人間だけでなく、太陽も不機嫌なときがあり、突然大きな爆発をおこすのです。太陽フレアは太陽系最大の爆発現象です。最大級のフレアでは、たった10分の間に日本で1年間に発電されるエネルギーの総量の100万倍のエネルギーが放出されます。太陽フレアでは、X線以外にも、電波などいろいろな電磁波が放射されます。

太陽フレアでは、太陽全体が強いX線を放出するのではなく、大きい太陽黒点のまわりで爆発現象が発生して、強いX線を出します。1859年9月1日11時18分、キャリントンは、「望遠鏡のフィルタに穴があいたのではないかと思った」というほど激しいフレア爆発の観測に成功しました。このフレアは現在までに知られている最強の爆発であったことが知られています。これらの爆発的な太陽フレア現象は、黒点との関係からも予想できるように、太陽の磁気エネルギーが爆発的に解放されることが原因だと考えられています。

イライラしながら、突然爆発するのは人間も太陽も同じ?

太陽フレアはさまざまな宇宙嵐の原因になります。太陽フレアは電離圏を一気に電離させるので、通信障害を引きおこすこともあります(第18問参照)。また、フレアのときには、太陽からエネルギーの高い陽子がとんできて人工衛星を誤動作させることもあります(第16問参照)。太陽フレアに伴う電磁波は、たった8分で地球にやってきます。静止軌道上のアメリカの気象衛星GOESは、常に太陽X線の強さをモニターしています。また、フレアがいつ発生するかを予測する宇宙天気予報の研究が、世界中で行われています。

(*)目に大きな障害を引きおこすこともあるので、太陽を目で直接見ては絶対にいけません。