32. 太陽をどうやって観測しているの?

宇宙嵐の原因は太陽の活動です。たとえば黒点の数は、宇宙天気予報でも一番基本的な指標になっています。巨大フレアの予知は地震予知のように難題ですが、宇宙天気予報の精度を上げるため、黒点のほかにも、太陽大気のあらゆる映像を詳細に調べることが求められています。地上のひまわり衛星の雲画像に対応するのは、太陽画像でしょう。

黒点の活動を見るためには、白色光を見る望遠鏡が必要です。また、太陽フレアを調べるためにはHαと呼ばれる赤い光のフィルタをとおした観測が必要です。さらに、明るい太陽を隠して人工的な日食をつくりだすコロナグラフは、コロナの広がりを観測できます。一方、フレアが出す太陽電波を観測することによって、その後の磁気嵐などの予報に欠かせない情報を得ることができます。これらの観測は地上からできますが、紫外線やX線は地球の大気によって吸収されてしまうため、地上から観測することはできません。そこで、人工衛星から紫外線やX線の観測を行って、太陽コロナの詳細な構造を明らかにします。

太陽観測衛星SOHO(SOlar and Heliospheric Observatory)は、地球とほぼ同じ軌道を太陽のまわりを回わりながら、太陽面を観測しています。STEREO(Solar TErrestrial RElations Observatory)衛星は太陽の立体視や横からの撮影に成功し、2010年にはSDO(Solar Dynamics Observatory)衛星の観測も始まりました。白色光や紫外線などを用いて、太陽黒点、太陽フレア、太陽磁場、コロナホールなどを観測しています。24時間太陽の状態を監視できるので、宇宙天気予報にとって重要なデータを提供しています。また、日本の太陽観測衛星「ひので」は、いままで見たことの無いような太陽活動の詳細な映像を次々と明らかにし、最新の宇宙天気予報研究にも活用されています。