27. テレビの衛星中継が途切れるのはなぜ?

現代生活には、人工衛星が大きな役割を果たしています。衛星放送や衛星通信、また気象衛星の情報などは、私たちの生活に密接に関わっています。そのため、人工衛星に障害がおきると、私たちの生活に大きな影響が及びます。

人工衛星にとって怖いのは電子や陽子による衛星の帯電や、高エネルギーの粒子による衛星のコンピューターの誤作動です。これまでにも、放射線帯の電子や太陽からの陽子が増えたときに、人工衛星からの通信が途絶した事例が報告されています。たとえば、静止軌道の放射線帯の電子が急増した1994年2月22日には何十分にわたってリレハンメルオリンピックの衛星放送が中断しました。また、2010年4月におきた宇宙嵐のときにも、静止軌道上の通信衛星が機能障害をおこして、ついには漂流を始めてしまいました。静止軌道上の通信衛星は、テレビの衛星中継や、国際電話、各種通信などに広く用いられているので、その誤作動や故障は、私たちの身近な生活にもいろいろと影響を及ぼします。