21. 宇宙嵐になったらどうしたらいいの?

台風が来たときには、安全のため、むやみに外を出歩かないことが一番です。では、宇宙嵐が来たら、私たちはどうしたらよいのでしょうか。地上で普通に生活している分には、全く気にする必要はありません。台風と同じように宇宙嵐の発生は、人間の力で食い止められるものではありません。

宇宙嵐といっても、いままで見てきたように様々な種類があります。太陽電波バーストの地球への影響は太陽フレアの8分後から現れますが、地磁気誘導電流の影響は、太陽フレアがおきてから数日後に、コロナ質量放出や衝撃波が地球を包み込んで磁気嵐が発生しているときに現れます。台風で大量の雨が降った結果、土砂崩れが発生するように、宇宙嵐のどういった現象がどういった順番でおきるか、またどのようにお互いが関連しているかといった因果関係を知っておくことが大切です。

宇宙嵐に対して、宇宙を利用する専門家たちにできることは、その被害をできるだけ小さくすることです。もし、宇宙嵐がやってくることが前もってわかっていれば、送電網が壊れないように運用したり、放射線の影響を受けやすい人工衛星の電子機器の中でも特に重要な部分については電力を落とすなどの対応をとって、被害を未然に防ぐことができるのです。そのために、いつ、どのくらい大きな宇宙嵐が発生するかを教えてくれる宇宙天気予報が役に立ちます。

2008 年、宇宙ステーションではトイレが壊れ、新しいトイレと交換したそうです。トイレをロケットで打ち上げて交換するくらいで驚いてはいけません。宇宙ステーション自体が組み立て式で、完成するとサッカー場くらいの大きさになります。日本の実験棟「きぼう」がスペースシャトルで運ばれてドッキングしたのも 2008 年の大きな出来事でした。ちなみに、トイレの故障の原因は、宇宙嵐とは特に関係がなかったようです。

宇宙天気が人間生活にあたえる影響