磁場の性質
1. そもそも磁場ってなに?
重力や電気力など、自然界に存在する力の一つに磁気の力があります。これらの力のように、物体に触れることなく及ぼされる力のことを遠隔力といいます。
重力は質量がある物体に、電気力は電荷に働く力ですが、磁気力は磁石や電流に働く力です。これらの力は目に見えないので、力が働く場合に、「空間に場が存在する」という言い方をし、それぞれ、重力場、電場(あるいは電界)、磁場(あるいは磁界)と呼びます。特に、磁場と電場は密接に関連し合っていますので、両者を扱う学問は電磁気学と呼ばれます。
例えば重力ですと、地球上では地球の中心に向かった力という具合に、ある程度直感的に理解できますが、磁場の様子を直感的に理解するのはなかなか容易ではありません。そこで、イギリスのファラデーという人が、「磁力線を描く」という方法を考え出したのです。磁力線の引き方は、線の引かれた方向(向きを矢印で示します)が磁場の方向であり、その密度(混み具合)が磁場の強さを表すことになっています。例えば、直線電線に電流が流れている場合、電線を中心とする同心円状の磁場ができます。この場合の磁力線は同心円状に描かれ、電線に近いほど混み合っていて、遠ざかるにつれてまばらになります。