28. 地磁気の逆転ってなに?

前に述べたように、地磁気は時々刻々変化してはいるのですが、日常に見られる変化は磁気コンパスの針の動きとして目で見ることが難しいほど微弱なものです。ところが、長い地球の歴史を通してみると、コンパスの向きを反対にする出来事が何回も起こっていることが知られています。このような出来事を「地磁気の逆転」と呼びます。

逆転にかかる時間は、数千年程度であると考えられます。逆転の様子は、地磁気が強さを変えずにクルンと向きを変えるのではなく、一方の向きの磁場がだんだん弱くなって、逆向きの磁場が次第に強くなるということのようです。従って、逆転の一時期は地磁気が弱くなることもあるようです。

一度逆転すると、10万年から100万年くらいは同じ向きの状態が続きます。現在からみて、最後の逆転は、およそ78万年前にありました。古い地層から出てくる岩の中に現在と逆向きの磁気をもったものがあることにはじめて気付いたのは、フランスのブリュンヌという人です。日本では京都大学の松山基範(1884 ~1954年)が、朝鮮半島の岩石の中に逆向きの磁気をもつものを発見し、それをもとに地磁気の逆転を唱えました。これらのことから、78万年以前の逆向きの時代を「松山期」、それ以降現在までを「ブリュンヌ期」と呼び、両者の境界をブリュンヌ-松山境界と呼ぶことになりました。

現在(上)から過去8000万年前(下)までの地磁気の逆転の様子。バーコードの黒は地磁気が現在と同じ向き、白は現在と逆向きの時代を表しています。