8. 地磁気ってなに?

地球やその周辺に存在する磁場のことを、地磁気といいます。古代中国において紀元前220年ころに、南の方角を知るために

「指南儀」と呼ばれる道具を用いたと伝えられています。この道具は、鋼でできたスプーンを何百度という高温に加熱した後に冷却して磁化したものを、滑らかな銅板の上に置いたものです。スプーンを回転させて止まった時に示す方向から、南の方角を知ったとされています。

北ではなく、南であるところがおもしろいと思いますが、古代中国、それも紀元前2600年代に、すでに磁力を使って常に南を向く道具があったことが記録に残されています。それは指南車と呼ばれ、このクルマの上には、腕を伸ばした人形が乗せてあり、その人形の腕がいつも南を指すようになっていたというもの。人を教え導くことを「指南する」といいますが、どうやらこの語源は指南儀や指南車にあるようです。

古代中国で南の方角を知るために用いたとされる「指南儀」のイラスト。よく磨かれた銅板の上で磁性をもった鉄のスプーンを回すと、南を指す位置で止まるようにできていました。北京鉄鋼歴史博物館に模型が展示してあります。

地磁気はおおむね北向きの磁場ですが、詳しく見ると水平であるとは限らないことがわかります。このため磁石の重心を支点にすると、日本付近ではN極が少し下を向いてしまいます。このことは、磁場は水平ではなくて上方から地球の中に向かっていることを意味します。さらに詳しく調べると、南半球では磁場が上向きになることや、赤道付近では水平で緯度とともに傾きを増し極ではほとんど鉛直に立ってしまうことがわかります。水平面からの磁場の傾きの角度を伏角と呼びます。

磁気コンパスの針が傾いているとうまく回転しないので、通常はS極側に金属の線を巻き付けてバランスが取られています。緯度の違いによってこのバランスがずれてしまうことがありますので、海外に持って行く時には注意が必要です。