12. 地球は永久磁石?

この問題に答える鍵は、温度にあります。永久磁石のもつ磁力は温度によって変化します。500~700℃あるいはそれ以上に熱すると、永久磁石は磁力を失ってしまうことが知られています。

さて、地表では、昼と夜、あるいは季節の違いによる気温の変化があります。ところが、地中に深く入るに従ってこのような温度の変化が小さくなってきます。井戸水の温度が1年中あまり変わらないのはこのためです。地表の温度変化が届かなくなると同時に、地下深部に行くに従って温度(地温と呼びます)が次第に高くなります。温度上昇の割合は場所によって違いますが、平均すると、およそ100メートルで3度くらいです。

ですから、地球の中に永久磁石があったとしても、それが磁力をもてるのは地表に非常に近い部分だけに限られることがわかります。地殻の岩石には永久磁石の性質をもつ鉱物が含まれることが多いのですが、量的にはわずかなため、これで現在の地球磁場を説明することはとてもできません。地殻の岩石の磁性は、地磁気異常(20参照)の主な原因になっています。